はなおの縁ー双葉編ー
やっぱり、足は自然に速くなってしまっていた。

あの場所が見える所まで来ると、あの人はもうすでに来て待っていた。

だって、すぐわかるんだもの、あの人。

見た瞬間にすぐ分かってしまう。

ああ、来ている、そう思ったら、自然に足が普通に戻った。

今日はちゃんと会えるんだ。

「こんにちは。」

そう言って、あの人を見上げる。

あの人は180cm以上でしょう?あたしは160cmあるかないかだから。

「やあ、やっと会えましたね。先週はすまなかった。抜き打ちの試験を土曜に言われて、翌週試験だったんだ。」

「ええ~!大変だったんですね。こんなこと、よくあるんですか?帝大では?」
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