はなおの縁ー双葉編ー
「まあ、なんだねえ、この子ときたら。はいはい、邪魔者は退散するでござんすよ。では、お嬢さん、どうぞごゆっくり。」

にっこり笑って部屋を出て行った。

「しかしまあ、ずいぶんとたくさん持ってきてくれたなあ。」

と卓を見ながら彼がつぶやく。

本来頼んだものは、てんぷらそばといなりずし(これが彼の定番らしい)、おにぎり(味噌汁と漬物がつく)だけなのだったが、それに加えて煮魚、冷奴、青菜のおひたし、出し巻き。

どれもみなとても美味しそうだ。

「でも、美味しそうに炊けてますよ、どれも。」

と言うと、

「うん。ここの飯がやっぱり一番うまいんだよな。だから、君をここへ連れてきたかったんだ。」

ちょっとうれしいことを言ってくれる。

じゃあ、とおなかの空きすぎなあたしは

「いただきます。」

と手を合わせ、早速食べ始めた。

「おいしい~!」

「だろ?」

と、さもうれしそうに彼が相槌を言う。
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