はなおの縁ー双葉編ー
「じゃあ、浩平さん。」

彼はすごくうれしそうに、

「はい!何でしょう?」

と、満面の笑顔で答えてくれる。

「明日は神田町へ連れてってください。試験が終わったらまた逢ってもらえますか?」

「もちろん!」

ほっとしたようにあたしを見た。

「はは、決まりだ。そうとなったら、明日の予定を考えなきゃならんな。さあ、今日はもう終わりにしよう。明日何時ごろ出られますか?」

「10時を過ぎれば出られます。その時でいいですか?」

勉強道具を片付けながら聞いた。

「じゃあ、10時過ぎにあの場所で。」

あの場所とは二人が初めて会った場所のことだ。

彼はあたしが店を出るのを見届けて、自分も外へ出た。

でも、不思議だった。

試験期間がこんなに楽しいのは初めてだ。

そして、それは彼と一緒にいるからだと、鈍感なあたしはこの時にようやく気づき始めたのだった。
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