はなおの縁ー双葉編ー
つ、と立って、

「もうそろそろ、行きますね。帰りは今日も遅くなります。お母さんに言っておいて。」

部屋を出ようとしたとき、兄は言った。

「勉強しに行くにしては、やけに嬉しそうだな。」

、、、、、、まったく、人の顔を観るのが得意なのだから。

しょうがない、最後まで応戦するしかない。

「勉強のしすぎでちょっとばかしとち狂ったかもね。それより兄さん。あたしと噂とどっちを信じるのさ?」

この二者択一でこの人の答えは決まっている。

「、、、、わかった。話せるときになったらきちんと話せよ。」

兄はどうやら感づいているみたいだ。

「行ってきます。」

兄の顔は見ずに部屋を後にした。
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