ミッドナイトバスに今夜は乗らない
 金曜日……。

 女子が少ないと盛り上がらないと、少し強引に、社の若手男子陣から誘われた飲み会。

 いい感じに酔いも回って、皆ハイテンションだ……。


「なんか淋しそう……。元気無くない?」

 隣に座っていた、企画部の女子に人気の佐伯さんが、酔ったふりをして背中越しに抱きしめてきた。

「ちょっとね……色々とね……」

「ねえ、抜け出さない?」

 潤んだ誘惑の瞳をして、ジッと見つめて来る。

「いいよ」

 挑発するような視線を送り、私はそう答えた。


 ――乗らなかったミッドナイトバスは今頃どこを走ってる頃かしら? ふと頭の片隅に過った。


 《Fin》

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