Sales Contract
「千絵さん、今日はどうしちゃったの?」
「あたしがこんなこと言うのって変?」
「うん。
だけど…そのほうが可愛いよ」
今度はあたしの方が油断していた…
照れながらそんなこと言われたら、こっちまで恥ずかしいじゃない。
これじゃ、まるであたしが勝也くんのこと好きみたいじゃない。
とりあえずこの空気をどうにかしないと…
「あ、そうだ…
CDかけてもいいかな?」
「どうぞ」
顔を外のほうに向けながら勝也くんがそう返した。
カーステレオのスイッチを押すと、聴きなれた曲が流れ出した。