Sales Contract


「結構まともに作れるんじゃない」


「食べてみて」


小さい子のように早くと急かしてくる。
そんな様子がすごく似合っておもしろかった。


一口だけ口に入れる。


「どう?」


「あ…おいしい」



お世辞じゃなく本心だった。


「なんかこの味、懐かしいなぁ…」


まだあたしが小さいときに、こんな味のオムレツをよく母親に作ってもらったっけ。


「これは例の憧れの人に教えてもらったんだ」


「家庭的な人なんだ」


「家庭科の先生だからね」

< 48 / 310 >

この作品をシェア

pagetop