17-甘い君たち-




「はあ……」

「なあにー? 南緒。
今日ため息ばっかりついてるよ?」

「ええっ、ウソ?」


お昼休みの教室。窓際で向かい合わせに座ってお弁当を食べながら、私はまたもため息をこぼしてしまったらしい。


「ウソじゃない。もー、何か悩み事?」

「えっ?! ちがうちがう!」


ホントに?って、私の顔を疑いの目で覗き込む美香。ほんとほんと、って首を縦にふる私。


美香には大概のことを話してきたけれど、2人に好きって言われたなんてそんなこと、これだけは絶対に言えやしない。


ていうかいくらなんでも、あの2人に告白されたなんて知られた日には……うん、学校中の女子に殺されかねない。間違いない。


「ホントにー?怪しいなあ。
最近美形幼馴染と一緒にいるの見ないから、てっきり告白でもされちゃったのかと思ったよー。」

「ゴホッ!!」


美香の言葉に、思わずむせてしまった。


「や、やめてよ変なこと言うのっ!」

「あれー?そんなに焦るなんて珍しいじゃん、南緒。」


明らかに面白そうににやにやと笑う美香。なんだか全部見透かされてるみたいだ。さすが私の親友。


「あ、焦ってなんかないもん…」

「もー、こんな話題、今更そんなにあわてることじゃないじゃないの。
あの美形幼馴染が南緒のことが好きだなんて、みーんな知ってることなんだから」

「えっ?!今なんて言った?!」

「だからー。あの美形幼馴染が南緒のこと大好きってのは、みんな知ってるってこと」


な、なにそれ。なんだそれ。
意味わかんない。本当に意味わかんない。だって私だって信じられないことなのに、みんなが知ってるわけない。

ていうか、知られていたら私は今頃生きてないよ。ウン。


「………ちょっと、お茶買ってくる」


居た堪れなくなって、席を立つ。
美香はこれまた面白そうに、いってらっしゃーい、と私に手を振った。


……ちょっと頭を冷やそう。


今更思うことだけど、あの2人が同じクラスじゃなくて本当によかった。

同じクラスだったら、今頃緊張のしすぎで、死んでたかもしれない。

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