17-甘い君たち-

嬉しそうに笑う尋。
私は額に手をやって、熱くなる顔を反対の手で押さえた。


「ふ、ふ、ふいうち……」

「俺がどれだけ南緒のこと好きか教えてって言っただろ」

「それとこれもは話がちがう!」

「ふはっ、南緒、顔まっか。ほんとかわいーな。……口にすんのは、また今度、2人っきりの時、な?」


そんなこと言われたら、もっと顔が赤くなる。

尋はかわいい、なんて言って無邪気に笑う。その笑顔がいとしくて、しょうがなく許してしまう自分がいるよ。


ふと、安藤くんの言葉が、風に乗って聞こえてきたような気がした。


迷ったとき。
挫折したとき。
困ったとき。
泣きたくなったとき。

そばにいてほしいヤツのとこへ、行けばいいんだから。



迷ったとき、
挫折したとき、
困ったとき、
泣きたくなったとき、
そばにいてほしいのは、確かに君だった。

私はきみを抱きしめたいって思った。震える背中を私が抱きしめたいと。

安藤くんが言っていた、幸せを願うってきっとこういうこと。好きって結局、相手の幸せを願えることなんだ。


「ねぇ、尋」

「ん?」

「……好きだよ」


走り出した恋を、もう止めることなんてできない。幼馴染から一歩踏み出して。私はきみを、こんなにも好きだとおもうよ。


「……バカ。俺はずっと南緒のことが大好きだっつーの」


多分この先ずっと、私の想いにきみはきっと、そう言って太陽みたいな笑顔を向けてくれる。

尋はそんな太陽みたいな笑顔を私に向けて、また強く私の手を握りしめたんだ。

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