17-甘い君たち-
ガチャリ、と。長かったようであっという間だった一人の時間が終わったことを知らせる扉の音がした。
そして、ゆっくりと2人が中に入ってきて。視線が一度も、絡まらない。
もう、話は終わったのかな……。
なんだか妙な胸騒ぎがする。
「話、終わった?」
また、私は作り笑いをしながら2人に微笑みかける。
でも、明らかにふたりの様子がおかしい。2人は、こっちを真剣に見ながら。
一言も、何も発しない。
「……どうしたの?」
馬鹿な私でもわかる。
この空気が、いつもとちがうものだというくらい。
翔太がふっと笑みをこぼした。そして手を顔の前へと持って行って。
「……やっぱ、いざ目の前にするとなぁ……」
______何が? 何の話をしてるの?
私は、意味が分からなくて、2人を見つめることしかできなかった。
「なぁ、南緒」
声とともに尋も顔をあげる。さっきとは裏腹に、ふたりの視線が私を捉えた。
まっすぐ、まっすぐに、私に。
「今から言うこと、全部本気だと思って聞いて。」
「もしかしたら、南緒を傷つけることになるかもしれない。でも、聞いてほしい。」
ドクン、と。大きく心臓が揺れた。
ふたりの視線に、私は動けなかった。
そして、2人がすっと、同じタイミングで、息を吸った。