河の流れは絶えず~和泉編~
こんなに近くで彼女を見たのは初めてだった。

かわいいときれいの中間とでも言おうか、飛び切りの美人というわけではないけれど、何故か男たちの間ではすこぶる人気があった。

笑った顔もかわいいし、それに仕草がいいというのか、なんというのか、、、。

ただ、ひとつ、確信に近い自信があった。

間違いでなければ、彼女も俺を見ていたことがある。

何回か目が合う時があったからだ。

お互い目を合わせてそのまま声を掛けるでもなくすうっとその場を去っていく、、、。

そんなことがあったから俺の中では幾分返事を期待していた。
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