河の流れは絶えず~和泉編~
「へえ、桃か。まだ旬にゃ早いだろ?」

紫煙を吐きつつおばさんを見上げて言う。

「知り合いの農家が今日わざわざ持ってきてくださってねえ、お初だからさ、浩ちゃんにもと思ってね。どうだい?」

とそばに置いてくれた。

煙草をもみ消して、鉢を取り、

「いただきます。」

とおばさんに言う。

おばさんはといえば、隣に座って、俺に団扇で風を送ってくれている。
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