河の流れは絶えず~和泉編~
「うん、でもおじさんから助言みたいなことを言ってもらえたから、よかったよ。」

おばさんは、洗濯物を竿にかけながら、

「なんかさ、心配が拭えなくてね、あのひとに聞いてもらったんだよ。あの子の目がね、気に入らなくて。」

ふ~ん。

「そんなに心配なの?おばさんは。おじさんは昨日なんて言っていたの?」

「話を聞いただけじゃ、わからないが、そういう女は性質(たち)が悪い、そう言っていたよ。」

でも、と更に付け加えた。

「あの人の考えに間違いはない、と思うんだよ。昔から変に勘のいい人だったから。あたしにも気をつけておけって言っていたくらいだし。だからさ」

と俺の方をしっかりと見て、

「何かあったらすぐに言いなよ、浩ちゃん。うちの人もあたしもいるからさ。」

この時はあまりこのことについて重要に捕らえていなかった。

そしてそれが、俺の、いや俺たちの落とし穴となる。
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