河の流れは絶えず~和泉編~
「じゃあ、急がないと。雨も」

そう言った途端に大粒の雨がボタ、ボタ、と落ち始めた。

さっと辺りを見回してみると、軒が深い店がすぐそこにある。

「うわ、まずいな。まだ店まで道のりがあるから、あ、あそこへひとまず逃げ込もう。」

と、言いながら、恐怖で半ば動けなくなってきている彼女を引っ張るように走る。

軒下に入ったその時、ものすごい雨が地面を叩きつける様に降ってきた。

「間一髪、、、、、。」

安堵の息とともに漏れた言葉の後は、呆然と降り出した雨を見ているしかなく。
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