囚われの歌姫







「……颯人って、物好き」




「は、何で?」


「私と一緒にいるから」






前に一回だけ、勘違いをされたことがある。


私が颯人の彼女だ、って。







……ありえない…。

その時私は普通にそう思った。



からかわれても一緒にいるのだから、颯人は物好き。







「幼馴染みだろ? 一緒にいよーがいまいが俺の勝手」



「クラス違ったら?」


「それはないだろ。今までずっと腐れ縁で一緒だったし」






一度上を見上げて、すぐに視線を私に向け返した。
口元は笑っていて。


「……アホ」




そんな言葉しかでなかった。







校門を潜って、靴箱に辿り着くと、適当に靴を入れて、上履きを履く。




「……つか、ここ無駄にでかい学校なのな」


「それは……私も思う」





学校案内の紙を見たときは驚いた。
制服は自由に選べて、
学校の階数なんか中学の時よりも比じゃなくて、
寮まで設備してあって、
とにかくすべてが大規模。


そんな学校にある私達のクラスは二階。




《新入生はこちら》

と書いてある場所に向かう。





……ほんとに広いな…。
クラスまでの道覚えられるか……不安。




「何不安そうな顔してんだ? どーせ、迷ったりしないか心配なんだろ」


「…………別に違う」


「覚えられるまで俺が連れていってやるから、心配する必要ないけどな」


「また引っ付いて来るのか…」



ちらりと颯人を一瞥して、ちゃんと覚えるために特徴になるものとかを覚えておいた。







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