君がくれた初恋

 次の日も、私は部室で、絵を書いていた。
 今回は違うのを。
 ....和泉太陽さん。友達に誰か、と聞くと超モテる2-8の同級生、だった。
 なんで今までうろ覚えだったのか...。
 まぁ、今まで男子に興味なかったからだけど....。
 思い返してみると、確かに、イケメンだ。
 なんか強気なお兄さん、みたいな感じ。
 茶髪で、少しだけ短い..ぐらいの髪型。
 私なんかと釣り合わないだろう。
 私は、色素の薄い黒髪で、肩ぐらいの長さの髪の毛だ。
 でも、何回か告白されたことある。
 断ったけど。
 
 今回、書いているのは、和泉くんの部活姿。
 君付けなのは、本人希望。
 和泉くんの絵を書いてるのは、なんとなく、目がいったから..。
 ここからでも、誰かわかるぐらい見えている。
 和泉くんももちろんわかった。
 楽しそうに、走って、蹴って、走って、蹴って。
 なんだか少し、微笑ましい。

 『また、会おうね』

 なんて言われたけど、実際どこで会えばいいのさ。
 気になって、しょうがない。
 なんというか、早く、会いたいって、思う。
 絵がうまいって言われたからかな..?
 いや、私、そこまで自信過剰だっけか?
 うーんとうなりながら考えてしまう。

 「どした?考え事~?」
 「うん、ちょっと...。...え?」

 窓の方に目をやると、そこには、和泉くんがたっていた。
 というか私、馬鹿みたい...。何返事してんの。
 
 「いつから...?」
 「んー..2分前ぐらい?」
 
 2分前からいたのに、どうして気がつかないんだ私!
 さっと絵を隠し、泉くんの方へ、近づく。

 「今日は何?」
 「え?なんもないけど。」
 「....は?」
 「ただ、ひかりに会いたくて。」

 何、それ。
 つか...ひかりって...。
 ....でも、嫌じゃないな。
 というか、なんか嬉しい。

 「そんなの、理由になってない。」
 「そぅ?あっじゃぁさ。」
 
 和泉くんは私の腕を引っ張り、

 「今日、一緒に帰んない?」
 「っ」

 微笑む笑顔に、息がつまりそうになった。
 掴まれた腕も暑くて、ドキドキしてる。
 夏だから..?

 「うん..。帰る。」
 「よかった。それじゃぁね!」

 本当に何しにきたの?
 そんなこと思いながらも、たぶん、顔は赤いし、笑ってる。
 はぁー...あの人、やっぱタラし??w
 和泉くんの背を、目で追いながら、私は、なんとなく、
 楽しみだな、って思った。

 3時くらいにサッカー部も終わり、私は、和泉くんを待っていた。
 すると、走って、こちらの方へ走ってくる人が見えた。
< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop