曼珠沙華


何もする事がない
日曜日



遅く起きた朝



学校までの通学路以外
あまり出歩かず
土地勘のない僕には



軽い探検気分で
”曼珠沙華”を
探しに出掛けた



母が潤覚えながらに
語っていた方角へ
颯爽と風を切り
自転車を漕ぐ



懐かしい自転車の
ブレーキ音や
グリップを変えた
ハンドルを握り



引っ越して来る前に
一緒に遊んだ友達の笑い声が
耳の奥で木魂する



僕は 引っ越したくは
なかった


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