密やかに落として
「いくら気にしても部長は、おおっぴらに何もできない」


この男・・・・・・



私はバッグを持って立ち上がった。

洗面所に入ろうとしたその時、強い力で後ろから抱きすくめられた。


「外へ」

耳元で囁いたのは櫂だ。

声を飲み込んだ私は、やすやすとドアの外に連れ出され、階段の踊り場まで流された。


櫂の唇が首筋に近ずく。

「負けないよ。あんなおじさんに。気持ちも、それから・・・」

彼の唇が首筋を這う


バッグが手から離れて落ちた。

トンという音が合図のように、私の両腕は彼の手で押さえつけられ、唇を塞がれた。

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