わがまま猫男子いりませんか?
遥香先生は後ろで、一連の動作を静かに見ていた。

ひととおりの手当を終えると、蓮先生は口を開いた。


「綾ちゃん、誰にやられたの?」


「違いますよ。これは、さっき転んだだけで……」


「転んだだけじゃ、そんなアザはできないよ」


そう言う蓮先生の表情は、とても真剣だった。

思わず目を反らす。


「綾ちゃん、オレだって心配するんだよ?」


その言葉にあたしは何も言えなくなってしまった。

涙が出そうになるのをこらえていると、頭に温もりを感じた。


ふと、顔を上げると蓮先生の手が頭に乗せられていた。

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