月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
翌日。幻影館は慌ただしかった。

「おはよ〜…」

「おはようございます、月様」

ゆとりの間に入ると、妙さんが挨拶してきた。そこでは、十数人もの仲居さんと伊織が慌ただしく動いていた。

「月様、羊の刻(午後の2時)に私の部屋に来ていただけませんか?歓迎会のために着付けをしなければなりませんので」

「はーい!!」



朝御飯を食べて、私は桜華の部屋の前にある縁側でのんびりしていた。

「いい天気だなぁ」

庭の池には雀が水遊びをしている。この世界は、時間がゆっくり流れる。こんな時間が…続けばいいのにー…

「…あれ?紫苑…さん?」

紫苑さんが庭を歩いていた。私の声に気付いたのか、紫苑さんはチラッと私の方を向く。

「紫苑さん…えと、その…おはようございます」

「…」

無視されたーー!!!頑張って話しかけたのに…っ!!

「まぁ、アイツはああ言う奴だよ」

「きゃあ!!…って、東雲かぁ…おはよう(笑)」

「おぅ」

そう言いながら、東雲は私の隣に座る。他の守護者達とは仲良くなったけど…紫苑さんは一度もまともに話したことがない。
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