月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
甘味処「紅葉」は時代劇に出てくるお店で外に何個か長椅子が置いてある。

「あれ?月さん?」

「原田さん…」

と、そこに、昨日ぶつかった原田さんが立っていた。原田さんは私の隣に座り、みたらし団子を注文した。

「昨日ぶりですね」

「そうですね…原田さんはどうしてここに?」

「暇だったので商店街を散歩してました。東楼国はいい国です」

「私もそう思います」

「同じですね(笑)」

「はい(笑)」

私達は顔を見合わせて、ニッコリ笑った。拓真とは違う笑顔ー…

「そう言えば…この間は僕の部下がすみませんでした」

「この間?」

「はい…貴女の綺麗な肌に傷をつけてしまう所だった…」

多分、伊織と再会した日の事を言ってるのかな?原田さんは顔を下げたまま、上げようとしない。

「原田さん、顔を上げてください」

「…」

「私は貴方達のおかげで、離れ離れになった幼馴染みと再会出来たんです。ありがとうございます」

今度は私が頭を下げる。すると原田さんから笑い声が聞こえた。

「面白い人だ。僕は貴女にますます興味を持ちました。月さん、良かったら…明日の未の刻(午後2時)に東楼神社で会いませんか?」

「え?」

「貴女の事をもっと知りたいんです」

…つまり、これはー…デートに誘われてるって事?でも、原田さんは悪い人じゃなさそうだし…
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