月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
次の日、私は花ちゃんと一緒に東楼神社へ来ていた。東楼神社は広すぎもせず、狭くもなく、私にとってちょうどいい大きさだった。

神社の中央には立派な御神木が立っていた。

「ねぇ、花ちゃん」

「…」

「花ちゃんは、私の事好き?」

首を横に振る。

「じゃあ、嫌い?」

また首を横に振る。…好きでも嫌いでもないのか…言葉が分からないって、意外と難しい…

「空君の事は好き?」

首を縦に振る。そして、地面に字を書く。

"幼なじみで好きな人"

あれまー!!もうこの子ったら…いつもは無表情だけど、顔が少し和らいでるよ。

「私ね、違う世界から来たの」

「…?」

「これ、空君には秘密よ」

首を縦に振る。…こうして見ると、結構可愛い。薄茶色の髪を長く伸ばし、紫色の着物を着ている。

まだ10歳でも、かなり大人びいてるな…これは将来美人になるぞ。

ふ、と、人影が見えた。後ろを振り向いた瞬間…

ドカッ

「…っ」

私は誰かに殴られ、その場で意識を失ったー…




「やべぇ…っ拓兄に知らせないと…!!」
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