光と闇のセカイ
外見からして、20代初め位だろうか。


光によっては水色にも見える長い銀髪。

それを青の結紐で綺麗に束ねている。


こちらを見て離さない、透き通るような青い瞳。


小顔で、女性のようにきめ細かな白い肌。


“繊細”

そんな言葉が相応しい、柔らかな美しさを彼は持っていた。



だが………私は、


天王洲夕闇は、彼の外見に魅とれてま訳ではなかった。




「そなたに…
借りを作ってしまったな……。

礼を言おう……。」


男の低い声が、私に投げられた。



「だが……
ココがどのような所なのか………

…そなたは、分かっているのか?」


低い声が若干厳しくなり、その青い瞳は私から離さない。



男の問いに、私は何も答えられなかった。


今の私には、周りの声を聞く余裕がなかった。



何も言わない私を不快に思ったのか、男は青い瞳を細めて眉をひそめた。



「ココはそなたが来て良い場ではない……。

去れ……


異国の娘よ……。」


辛うじて聞こえた男の拒絶の言葉に、どこか寂しげな目に…………






--『あの時』の記憶が、蘇った。




「……が………う……。」


「……?」





--忘れかけていた、





忘れたかった、記憶--。








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