おとこ運
結婚式を2週間後に控え、式の最終確認のため彼と待ち合わせた。




仕事を早く切り上げることができたので、


2時間も早く待ち合わせ場所に着いた。



だんだんと暮れていく空が綺麗で少し歩きたくなった。


街を流れる川沿いを歩き、見つけたカフェ。


1人そこで時間を潰すことにした。


川が見える窓際の席に座り、夕暮れの街を眺めた。





「いらっしゃいませ、メニューをどうぞ」


ウエイターがメニューとグラスを置いた。




「お久しぶりです」




聞き覚えのある声を見上げた。



そして・・・・・その時あってしまった。




私から去ったあの人は



髪を短く切り、


少し痩せ、でも穏やかな笑顔は変わっていなかった。




「1人ですか?」



「あっ・・・・うん」



咄嗟に婚約指輪をはめた手をかくし、ついた嘘・・・・。



「今・・・・ここで?」


思いもよらないからなのか、それとも違う理由でなのか


鼓動が自分の耳の奥に響いた


「あっ・・・そう、知り合いと一緒に経営してる・・・」



彼は店を見渡しながら答えた。


注文したカフェオレがテーブルに置かれ、


彼は他のお客さんの対応へと離れた。



ずっと心の片隅にシコリのように残っていた


そのシコリが疼きだした・・・・・。
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