あの頃のように
「あ、すみません、すみません」


ぴょこぴょこ頭を何度も下げてる。

そのたびにポニーテールがまさに尻尾のように振れた。


「あの……ありがとうございました」


すべての自転車が元通りになると。

最後にもう一度、ペコリと頭を下げた。

茶色の長い髪が、両肩からだらりと垂れる。


「いいよいいよ、んじゃ、気をつけてね」


彼女が自転車に軽やかにまたがると、短いホットパンツとニーハイソックスの間のむきだしの素肌が目に飛び込んで、ちょっとどぎまぎした。


彼女に向かって笑って手を振ると。

彼女もニッと、ちょっと困ったように肩をすくめて笑った。


軽く会釈して、自転車をこぎだす。

長い髪がふわりと風に乗って広がった。


< 17 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop