あの頃のように
ドアの音に振り向くと、洗面所から出てきた沙稀が、ドアの前で所在なさげに立ち尽くしていた。

神妙な顔をして。


「自分で脱げよ、変な汚名を着せられたくないからな」


「……!」


ぎょっとしたように息を吸い込んで、沙稀は視線を落とした。

手が震えている。


「さっさとしろよ」


戸惑っている沙稀をせかす。

俺の声にあわててセーターを脱いで、カットソーとスカート姿になった。


「向こうを向いておいてやるから、さっさと脱いで、来いよ」


(何やってんだ、俺は)


沙稀に背を向けると、背後で布のすれる音がした。

その音に混じって、歯がカチカチ合わさる音が聞こえる。


しばらくして肩越しに振り向いてみると、キャミソール姿の沙稀が両手で肩を抱いていた。

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