あの頃のように
「やだ、イヤ、離して! やめて!」


ひたすら同じことを繰り返し叫ぶユカに、それでもめげずに続きをやろうとしていた俺は。

暗がりに光る涙を見て、はじめて我に返った。


「……?」


(——泣いてる?)


「ごめん。何もしないから。泣くなよ」

乱れた服を手早く直して、平べったいベンチの上に助け起こしても、ユカはまだ泣いていた。

両手で顔を覆って、顔を見せてくれない。

頬と手の間を、涙が伝わって落ちるのを、何も出来ずにただ見ていた。


(やばいな。泣かせるなんて)


少し落ち着いたかな、と思った頃に、そっと声を掛けた。

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