あの頃のように
(……おっと。まだ早かったかな)


そんなことが頭をちらりとかすめる。


(そんなはずはないよな。

だって、沙稀は十分に――)


おぼろげな思考は、ずるずると沙稀に埋没していくとともに、ちりぢりに消えていった。



 * * *



ガサゴソする気配で、どっぷりした眠りから目が覚めた。

うとうとしていると、シャワーの音が耳に入ってきた。


枕元のケータイに手を伸ばす。


(6時か――)

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