狐さんに取り憑かれました【短編】





たすきをかけながら、腰まである長い髪をくくり夕餉の準備に取り掛かる狐さん。




それを観察しながら、目の前にある課題を見る。



『はぁ』



――――ポイッ




「やれよ!」



瞬間移動した狐さんからチョップを頭に食らった。




『何をするのですか。これは課題ではありません、よってする必要はありません!!』




「何言ってんだよ。3月11日提出って書いてんじゃねーか。とっととやれ」




ッチ……私としたことがしくったですよ。




舌打ちをしながら、課題に取り掛かった。




居間からキッチンが見える。




クルクルとシャーペンをまわしながら、食事の支度をする狐さんの後姿を見つめた。




トントンッと野菜を切る音が響く。




< 13 / 23 >

この作品をシェア

pagetop