狐さんに取り憑かれました【短編】
たすきをかけながら、腰まである長い髪をくくり夕餉の準備に取り掛かる狐さん。
それを観察しながら、目の前にある課題を見る。
『はぁ』
――――ポイッ
「やれよ!」
瞬間移動した狐さんからチョップを頭に食らった。
『何をするのですか。これは課題ではありません、よってする必要はありません!!』
「何言ってんだよ。3月11日提出って書いてんじゃねーか。とっととやれ」
ッチ……私としたことがしくったですよ。
舌打ちをしながら、課題に取り掛かった。
居間からキッチンが見える。
クルクルとシャーペンをまわしながら、食事の支度をする狐さんの後姿を見つめた。
トントンッと野菜を切る音が響く。