『キセキ』

2つの光

藍沢、柊……

「そんなに怖がら無くても大丈夫だよ。

ほら、片の力抜いて」

…怖い人ではないようだ。

けどやっぱり…

私には人を信じる事が出来ないのだ。

「…っ」

どうしても震えてしまう。

「…大丈夫、僕を信じて」

そう言うと彼は私の頭を撫でた。

優しく、暖かい彼の手の平。

大丈夫、とゆう彼の瞳は

まるで私の闇を吸い取るように

真っすぐ私を見つめた。

その時初めて私は

人を信じるとゆうことが出来たのかもしれない。

「……空。海瀬空…」

私が自分の名をゆうと彼は、驚いた顔をして

優しい顔で

「ありがとう…」

と呟いた。

今まで聞いた事が無かった。

『ありがとう』なんて言葉。

「…あ、空って読んで良い?って初対面で馴れ馴れしいか」

そう言って彼はくしゃりと笑った。

まるで子供のような、でも何処か大人びた笑顔で。
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