Hurly-Burly 5 【完】

校門に立ってるだけなのに痛い視線が突き刺さる。

「な、何故か、寒気がするのだが!」

何か、変なものでも食べたかしら?

「1人で来ちゃ駄目だよって言ったんだよ。」

「ふむ」

「ほら、ここ男子校だからいろいろ危険なんだよ。」

「き、危険って一体何が!!」

「大丈夫、一人じゃなきゃいいから。」

「そ、そ、それって、つまりあたしが頼りないと!?」

な、なんてこっただわ。

馨君にはあたしが頼りないヤツだと思われてたのね。

「飢えたピラニアがいっぱいだって覚えときゃいいじゃね~の?」

「伊織君、飢えたピラニアを見たことがあるのか!?」

そ、それは意外なことを知ったわ。

「例え話じゃねーか。」

「見たことはないのか!?」

「ねえよな、普通に考えてみてみろよ。」

「なっ、嘘吐いた!!」

インチキ魔導師って言ってやるわよ。

校門を潜ると更に視線を受けて体に

穴があくかもしれない切羽に詰まった。

「でもさ、他校に乗り込んでいいのかね?」

「この時期だったら大丈夫じゃないかな。」

「ど、どうして?」

きゃーっと地響きのような黄色い声が聞こえて

来てギョッとした。

「どこもかしこもバラ色世界だわ!」

そうさ、恋する乙女がその想いを伝える

特別な日がやってくる。

「あっ!ちょっと、隠れて。」

みんなに隠れるように促す。

すぐ近くで発見したとある人物が女の子に囲まれてる。

「さすがじゃないか!!」

そういえば、中学時代からモテモテだった。

本人に自覚があるのか分からないけど、

この時期よくあんな光景を見たような気がする。

それでも、彼はたった1人の女の子以外受け取らない。

「マコ君って絶対に浮気しないタイプだよね。」

ごめんねと謝って誠意を見せる。

そんなマコ君はどう見たって一途な男の子だ。

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