Hurly-Burly 5 【完】
1人ワタワタと要らぬことを考えていると、
「ユウヤ、何があったか説明しろ。
言わなきゃ分かんねえだろ?」
ちぃ君の漆黒の瞳がユウヤを見つめる。
やっぱり、普段は脳天気に昼寝してるが
いざって時になると本領を発揮するのかもしれない。
「そういえば、伊織君と京君・・・ナル君も居ないよ?」
ユウヤが何か言いたげな顔をするけど、
言葉が詰まって出てこない。
「しっかりするんだ!ユウヤ、まさか苛められたのか!?
仲間外れにされて拗ねてるのか!?」
「それ、オメェだろうが。つーか、オメェは喋りすぎだ。
ユウヤに喋らせてやれよ。」
「分かった!ユウヤ、あたし黙ってる!」
慶詩の言い方は尺だが、言ってることは最もなことだ。
ジッとユウヤが喋れるようにお口をチャックした。
「・・・・・ヒヨリン、ぜってえ飛び出さないよな?」
喋れないからコクコク頭を上下させて頷く。
まず、話も聞いてないのに飛び出すわけがない。
それに飛び出す心配があるなら押さえつけるとか
すれば予防策になると思う。
「笑ったりしねぇよな?」
笑うかどうかは話次第だけど、ユウヤがあたしで大笑い
することはあるかもしれないけどユウヤの話で大笑い
したことが未だかつてあっただろうか?
あたしがポーカーフェイスなの分かってるよね?
コクリと頷くとユウヤは不安そうに瞳を揺らした。
「・・・・呆れたりしねぇよな?」
寧ろ、あたしの方が呆れられてるんじゃないかと
思うぐらいだから心配要らないよ。
コクリと強く頷くと、ため息をふぅと吐き出して
ユウヤの重かった口が開いた。
「ナルが連れ去られたっぽい。」
それは予想外の言葉で意味が分からず目をパチクリさせる。
つ、連れ去られたって・・・ゆ、誘拐っ!?
コイツは可愛い娘だなって変なおじさんに
ナル君が誘拐されてお人形さんコレクションに
仲間入りみたいなことに!!
「さっき、京から大体の状況は聞いた。」
馨君が困ったように言葉を発するのが、
遠くに見えてパニックを引き起こしそうな
脳内をとりあえず落ち着かせるためにも、
深呼吸をして見るも嫌な予感が思い浮かんでくる。