Hurly-Burly 5 【完】
ゴソゴソパーカーの中から発掘したオカメのお面を
手にしたあたしに夏君がキョトンとした顔を見せる。
「変なところに入れるなよ!!」
「持つ手がなかったのでやむおえなかったのだよ。」
ユウヤ、何そんなに怒るんだ?
君が怒るとは相当な反抗期がきたというのか!!
もしや、ユウヤに叩かれる日が来るのか!?
「大変だ!今すぐ、ヘルメットを買いに行こう!」
「ヒヨリン、もう止めてくれ!」
「へ、ヘルメットでは食い止められないというのか!?
それは凶暴性があるということね!防護服も購入するべき
だったとはちょっと的外れだったわ。」
「マジでしばくぞテメェ」
慶詩の凶暴性にまずはビビるべきだった。
「何だ、楽しそうにやってるじゃねぇ~か?」
「これのどこが楽しそうなのか作文用紙で簡潔に
ご説明頂けると理解に苦しまないわ。」
伊織君父よ、どう見ても慶詩にしばかれそうな
あたしが楽しそうに見えないことは明確である。
「まぁ、こんなところでもゆっくり出来ないからな。
部屋の中に入って少し話でもして・・・夏希っ!」
稜さんを困らせるとは夏君もすごい子になりそうだ。
「あ、大したものではありませんがお口に合うと
嬉しいものです。冷蔵庫に冷やしてお召し上がりに
なることをオススメします。」
ナル君が持ってくれたお土産を稜さんに差し出した。
「いやー、さすが女の子は礼儀が正しくていいね。」
「日和ちゃん、わざわざすまなかったね。」
「いえ、夏君お預かりしましょうか?」
夏君のうるうる攻撃に稜さんが困った。
「日和ちゃん、大変じゃないかな?」
「夏君はちぃーさんほど大変ではありませんよ。」
「ん?」
急に自分の名前が登場してきたことにビックリした
ちぃ君がピクっと肩を揺らした。
「じゃあ、すまないけど頼もうかな?」
稜さんが苦笑いすると夏君が再び手元に戻って来ようとした。
「きゃあっ」
夏君を攫ってかれてしまった。
あたしの差し出した手が行き場を失う。
でも、夏君が嬉しそうに笑ってるのを見ると一番懐いて
そうなのはちぃ君なのかなと思った。