Hurly-Burly 5 【完】
今思えば、この時変だとかそんなのなんていいから
引き止めてれば良かったって思うことになる。
「ち、ちぃー!」
「んっ?ユウヤも食べるのか?」
寝ぼけて転ばなきゃいいけどな。
「ちーさん、俺に煙草買ってきて頂戴よ~」
「・・・・・自分で買ってこいよ。」
「えー、ちーさんいいじゃね~のよ。」
「(´・д・`)」
「ついでじゃね~のよ。」
このやりとりが長らく続くのだった。
「ちぃー!」
それも終りを迎えると渋々玄関に向かうちぃーの
背中が哀愁漂って見えた。
「何だよ、ユウヤも来るか?」
「・・・気をつけろよ!石ころに躓いたら
あぶねーからな。どらやきは食うからな!」
その時、着いていきゃ良かった。
嫌な予感は拭いきれないまま変な焦燥感に駆られる。
この嫌な予感は気のせいでいいだろうと無理やり
振り切ろうとしてちぃーを見送って歩き出した。
いつもどおりに部屋に着くと不審な空気が漂っていた。
もっくんの顔がどこか強ばってる。
周りの奴らも変な様子でどうなってるんだって思った。
「おいっ、シケたツラしてんじゃねーよ。」
慶詩が声を出すとそれまで俺たちに気づいてなかったのか
全員が俺たちに視線を向けた。
そして、もっくんがゆっくり近付いてくる。
百瀬とよっちゃんはまだ来てないみたいだ。
「これが部屋の扉に挟まってました。」
それを馨に渡すもっくんはやっぱりいつもと
違う気がして変に思って馨に渡した紙切れが
何なのか気になった。
「ひーちゃんって今日は家ですよね?」
馨がゆっくりと紙切れを開くそれを、
ひょっこり顔を近づけて見てやろうかと思った。
もっくんの不安そうな声を聞いて、さっきの違和感
の正体がそこでやっと分かった。
嫌な予感は的中していた。
気のせいなんかではなく本当だった。
これは、罠で動き出したんだと気付いた。