Hurly-Burly 5 【完】

今思えば、この時変だとかそんなのなんていいから

引き止めてれば良かったって思うことになる。

「ち、ちぃー!」

「んっ?ユウヤも食べるのか?」

寝ぼけて転ばなきゃいいけどな。

「ちーさん、俺に煙草買ってきて頂戴よ~」

「・・・・・自分で買ってこいよ。」

「えー、ちーさんいいじゃね~のよ。」

「(´・д・`)」

「ついでじゃね~のよ。」

このやりとりが長らく続くのだった。

「ちぃー!」

それも終りを迎えると渋々玄関に向かうちぃーの

背中が哀愁漂って見えた。

「何だよ、ユウヤも来るか?」

「・・・気をつけろよ!石ころに躓いたら

あぶねーからな。どらやきは食うからな!」

その時、着いていきゃ良かった。

嫌な予感は拭いきれないまま変な焦燥感に駆られる。

この嫌な予感は気のせいでいいだろうと無理やり

振り切ろうとしてちぃーを見送って歩き出した。

いつもどおりに部屋に着くと不審な空気が漂っていた。

もっくんの顔がどこか強ばってる。

周りの奴らも変な様子でどうなってるんだって思った。

「おいっ、シケたツラしてんじゃねーよ。」

慶詩が声を出すとそれまで俺たちに気づいてなかったのか

全員が俺たちに視線を向けた。

そして、もっくんがゆっくり近付いてくる。

百瀬とよっちゃんはまだ来てないみたいだ。

「これが部屋の扉に挟まってました。」

それを馨に渡すもっくんはやっぱりいつもと

違う気がして変に思って馨に渡した紙切れが

何なのか気になった。

「ひーちゃんって今日は家ですよね?」

馨がゆっくりと紙切れを開くそれを、

ひょっこり顔を近づけて見てやろうかと思った。

もっくんの不安そうな声を聞いて、さっきの違和感

の正体がそこでやっと分かった。

嫌な予感は的中していた。

気のせいなんかではなく本当だった。

これは、罠で動き出したんだと気付いた。

< 408 / 415 >

この作品をシェア

pagetop