〈短短編〉拝啓、そっちの僕は元気ですか?
彼が居なくなった日
僕があっちの世界の僕に
会ったのは半年前の事だった。

名前が被るから僕は「マコ」と呼んでいる。

マコは二ヶ月程こっちの世界に居た。

マコが向こうに帰れたのは先月のことだった。

それも突然僕が学校に行っている間にだった。

部屋に入るとマコは居なかった。

出掛けてるのかと思いさほど気にしていなかった。

しかし、カバンを机に置く際に
見慣れた封筒があることに気付いた。

それは、僕のお気に入りの
レターセットの中の一つだった。

自分と同じ字で

『御調諒様』と書かれた封筒を
手に取り、丁寧に開いた中からは
封筒とお揃いの二枚の便箋が出て来てた。

便箋にはこう書いてあった。

『御調諒様

諒が帰って来る頃には僕はもぉ
この部屋と世界に居ないから諒のレターセットを
勝手に使って手紙を書く事にしたんだ。

最初は自分がもぉ一人居て驚いたし
変な感じだったけど楽しかったそっちの父さん達は
仲がいいみたいで少し羨ましかった。

多分、もぉ会えないけど本当に楽しかったよ
ありがとう。もぉ一人の御調諒より』

読み終えた後、僕は泣いた。

たったの二ヶ月だったけど双子の兄弟が
出来たみたいで楽しかった環境が違うせいもあって
同じ二人なのに性格は少し違ってた。

あれから半年母さんと二人暮らしのマコが
元気にしてるか心配だ……

こっちは父さんも母さんも
仲よしで、よく三人で出掛けたりする。

けど、マコは家族旅行もした事ないって言ってたなぁ……

無理してないかとか 風邪ひいてないかとか

心配だなぁ……
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop