ソウル◆チューン

「はぁ…まぁええわ。それより加代ちゃんは頼子の奥さんみたいやなぁ。そないに甲斐甲斐しくして…」

呆れたように言うと

「そっそんな紗季様!奥さんだなんてっ…私はただ頼子様のファンなだけですわ!」

加代は顔を赤らめて必死に言う。それを見た紗季は奈都にもチラッと視線を向けてから

「はぁ…そうですか。ま、頑張りや…」

と言った。

「でもね紗季ちゃん。加代ちゃんも最初はお茶のいれ方も分からなかったんだよ。人の為に覚えるって良い事だよね。なにより今は頼子より上手にお茶をいれられる。加代ちゃん、私にもお茶もらえるかい?」
「あっ、はいっ!ただいま。」

頼良に誉められ嬉しそうにお茶をいれている。

「しかし、お家の人が見たら卒倒するんちゃう?お嬢様がお茶汲みしとるやなんて。」
「ああ…等々力さんは実際、卒倒しそうだったな。」

苦笑いしながら頼子が茶をすすった。

「大丈夫。家に来てる時は私の判断で何でもさせて良いって、ご両親から了解を得てるから。」
「なんや頼良さんは加代ちゃんのご両親とお知り合いなんかぁ。」
「…うん?直接じゃないけど、一時とはいえ娘さんをお預りしているからね。ご挨拶くらいはしたよ。」
「とんでもありません。私の方が頼良様にはお世話になりましたもの。両親は全面的に信頼しておりますわ。」

お茶を頼良に渡すと、その時の事を紗季に話した。

「へぇーそうなんや。せやったら恩義を感じてはっても無理ないわぁ。」

加代の話を聞いて、紗季が納得したようだ。

「それで、先程のお話ですの。皆様を是非、京都の別邸にご招待したいのですが…」
「京都に別邸持ってはるの?凄いやん。場所は何処やの?」
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