I am … 【完】




「じゃあ行ってくるから」



丁度タイミングよく会社を早退して帰ってきた父と一緒に母は病院に向かった。



病院までは15分程。



優樹は寝ているし、今回ばかりはオジサンと顔を合わせないわけにはいかない…だから、私は行かないことにした。



父の車が出発して間もなく、夕飯の下ごしらえを終えたところで私の携帯が鳴った…



まだ病院には着いてないはず…



着信は母からで、多分車の中で落ち着かない気分を紛らわせるためにかけてきたのだろう。



「そう、言ってなかったけど、理恵が陣痛始まっちゃったんだって…」



理恵というのは先ほど会った従妹のことだ。



「まじで…こんな時に?」



ドラマみたいな展開だな…と冷静に思った…





今、まさに失われようとしている命…



そして、産まれてこようとしている命…



もう少し頑張れば、おじいちゃんも新しい命に会えたのにね…



もし…



優月が無事にお腹の中で育っていたら…



一番可愛がっていてくれた私のお腹の子…



優月に会うために思い留まっていてくれただろうか…?




誰もその答えは分からないし、考えても現実は変わらない…



ただ…



悲しかったと言うより、悔しかった……







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