キモチの欠片


いつもは強気な態度なのにさっきのはなに?


ホントに調子が狂う。

葵があたしのことを好きだと言ったのは本気なんだとじわじわと伝わってくる。


どうしよう、というかこの体勢ってなに?
葵が背後から身体に腕を回し、ガッチリとホールドされている。



「あ、葵……ちょっと離れてくれない?」


あたし、なんか変だ。ドキドキが止まらない。


男の人とエッチだって何回もしてるし抱きしめられるのも初めてじゃない。
だけど、こんな壊れ物を触るように優しく抱きしめられたことなんて一度もないよ。


泣きたくなるほど胸の奥がキュッと締め付けられる。



「あぁ、悪い。ちょっとタバコ吸ってくる」


パッと身体が解放され葵はベランダに出て行った。




どっと身体の力が抜け、その場にしゃがみこんだ。




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