お迎えに
誕生
「おめでとう。今日から君は死神だ。」


目の前には黒いマントを身にまとった、銀髪の男が僕に手を差し出している。

僕は何一つ身に付けていなかった。

体は水か何かの液体で濡れている。

周りには白い何かの破片が飛び散っている。

「どうした?殻から出たくないのか?」

どうやら、この白いのは卵らしい。

僕は差し出された手に自分の手を乗せた。

彼の手に支えられて僕は殻から出た。

彼は自分が来ていたマントをはぎとると僕に被せた。
彼は僕の手を握ると歩き始めた。


彼の手は異様な程冷たかった。


< 2 / 26 >

この作品をシェア

pagetop