戯れる堕天使
ふと、犯人が誰だか分かっている自分に、気がついてしまった。

類の頭の中で、バサリと音を立てて、黒い羽根が広げられる。

その主は、くしゅくしゅの髪。

一目見ただけで、誰もを虜にしてしまいそうな、かわいい顔。

・・・タケル。

類は身震いをした。

少し前に、悟にライブハウスでやる披露宴に出演を頼まれた。

その日、手渡された飲み物を飲んで、類は口の中を怪我した。

グラスの中に、ガラスのかけらが混入してたから。

手渡してくれたのは、タケル。

・・・他の人を疑うことは考え付かなかった。

タケルの自分に対する態度とか、数少ない接触から、

膨大な『危険要素』をかぎつけてしまっていたんだと思う。

あれ以来ずっと、タケルにおびえていた。



それがまた・・・
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