可憐な華にくちづけを





「本当に…お似合いですね。」


赤だった。
真っ赤なドレスは少し派手な気がしたけど

皆が皆、それを押した。




あの時の、冠も赤だったわね。
そんなに…赤が好きなのかしら?



でも、嫌じゃない。







「ふふっ、何だか新鮮な気分よ。」


「緊張してるんですよ、初舞踏会ですからね。」


「…そうね。」


「聖司様がエスコートしてくれます、心配はないかと、ただ…」


「いいのよ藤原、…適当にやるから。」


「貴絵お嬢様…?」


「ふふっ、…あら、聖司が来たんじゃない?」





遠くの部屋から女の悲鳴が聞こえた。








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