『記憶』~恋の続き~
野愛side



「でもっ、門限まだだし~、
翔を尾行してみようよっ。」

ほんの軽い気持ちで言った言葉。





聞かなきゃ良かった、と



思うのは




そう遠くなかった。


「いいけど。何するの」

「からかうのっ。お二人さーん、って」


「…面白そうだし、いいか」


「いぇーい!」

てくてくてく。

向こうが止まると、

こちらも止まる。

結構スリリングで楽しい。


角から見ると、


「もう着いたの?」

「…気づいてなかったのか?」

「…うんっ。」

だけど、こちらからでは


話し声が聞こえない。

全神経を集中させても、


うっすらとしか聞こえない。


「…私……で…





好き………」


「……俺……
つもり……た…」

ボソボソじれったい。


「…両思い…」


え?


「…うん…」

ええ?

「うそでしょっ…」


「うおっ。急に声出すから、
びっくりしたじゃねぇか」

「ご、ごめんっ。」



嘘だと信じたい。

でも…






はっきりと聞こえた。



「…やっぱゲームセンターでも
行って、お祝いするっ?」

精一杯の作り笑い。

目頭が熱い。

「え?野愛聞こえたの?」

「うんっ。両思いだとか
色々言ってたのっ。」

頬を熱いものが伝っていく。

薄暗闇で、本当に良かった。
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