課長と秘密の契約を…
彼氏がいるのに飲み会で…
同期の彼と付き合いだしてから、もう二ヶ月が経とうとしていた。


「エリ、どうしたの?」


キスをやめて、彼が心配そうに眉を寄せる。

彼の性格に不満はない。

大事にしてくれるし、いつだって私の事を一番に考えてくれる。


でも…

なにかが足りない。


新年会の席で刺激を求めて、階段下に呼び出してもキス以上はしてこない。

本当はこんなことはダメだよって、顔に書いてある。


わかってる…


本当はこんなことしたくないんでしょ?

私に合わせてくれてるだけ…


「だって、誕生日なのに新年会だなんて、やなんだもん」

「じゃ、二次会はやめて、二人でお祝いしよ」


優しく頬っぺたにキスを落とすと、席に戻っていった。



席に戻ると殆んどの人は出来上がっていて、仕方なく私は空いている席に座ることにした。

みんなの会話に入るのも面倒で、ひたすらハイボールをピッチを上げて飲んだ。


「名波、お前大丈夫か?」


気がつくと隣には、私の上司の鬼課長が座っていた。


顔はいいけど、性格は鬼。

男だろうが女だろうが、仕事のできないやつは見下り判をつけられて、企画課から庶務課へと
島流しにする。


私のグラスを取り上げて、机の上に置く。


「あり?鬼カチョー、ここの席らったんれすか?」


呂律が回らない。

一瞬、喋っていた回りの人が、私の傍若無人ぶりにビックリして話すのを止めた。

鬼課長は銀縁眼鏡を光らせながら、眼光鋭く私を睨む。


「全く、お前は…
外に出て頭を冷やせ!」


何だか頭がクラクラして、皆がグニャグニャして…


気づくと階段にいて、課長に寄り添って座っていた。

頬に冷たい空気が当たり酔いが少しさめた。


何も言わず横で、タバコを吸う課長の唇があまりにも綺麗で…

たまらず、タバコを持つ手を止めて口付けた。


「さっき彼氏としてた癖に、俺にも色目使う気か…欲求不満か?」

カァッと顔が真っ赤に染まる。

「か…課長が顧客満足度一位なのは知ってます。でも、私を満足させれるとは到底思えません。
だから、放っといて下さ…」

突然のキス。

下唇を食まれ、口内を掻き回されてジンと痺れた。

「俺に満足させられない客はいない。

試してみるか?」


そうして、私は課長と秘密の契約を交わした。


< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

それでも朝はやって来る

総文字数/86,527

恋愛(その他)199ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop