恋の魔法に
制汗剤か柔軟剤か知らないけど、桃の香りが鼻を掠める。
俺、何やってんだろ。
手が自然に動いてしまった。
気づけば先輩の肩を引き寄せていて。
先輩のこと抱きしめてた。
「どうしたの、結城くん……」
腕の中にいる先輩はピクリとも動かない。
声が震えているのはたぶん俺の気のせいなんかじゃない。
そりゃ、こんなこといきなりされたらびっくりするだろうな。
歩道橋は利用者が少なく、さっきからここを通った人は見かけない。
こんなところ見ちゃった方も気まずく感じるだろうし、見られた方も気まずい。