恋の魔法に



少し前を歩く無言の背中。

チラチラとこちらを度々振り返ってくれるその行動に口元が緩んでしまう。


可愛すぎるよ、君。



風の音。


走る車の音。


二人分のローファーの音。




「大丈夫ですかー?葉山先輩」




ぴたっと足音が止む。


靴の先がこちらを向いている。


ゆっくり顔をあげると心配そうな顔で私を見る結城くんがいた。




「先輩、後ろ歩かないでください。ついてきてるのか心配になりますから」



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