【BL】木枯らし



屋上のドアを開けると冷たい風が俺を迎えた。


「寒っ………」



一歩踏み入れると、風は更に冷たく感じた。


屋上を見渡すと、一つの影。


誰もいないと思っていたのに、そこには一人、風に吹かれてる奴が居た。


俺が数歩歩くと、こちらに気がついた。


氷のように冷たい表情が、冬にピッタリだなって思った。



「……何してるの?」



尋ねた俺に彼は笑った。


笑うと、ひだまりのような温かな印象になって。
今度は春にピッタリだと思った。



「そっちこそ。」
「……退屈だったから。散歩」
「へぇ。俺も」



彼は柵に手を乗せ、さらにその上に顎を乗せて、眼下に広がる景色を見ていた。



俺も倣(ナラ)うように彼の隣で同じ態勢をする。



眼下には枯れた木々。



< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop