バッドエンドにさよならを

「物心ついたときからすでにお父さんはおらんかったけどね、お母さんは女手ひとつで僕を育ててくれたんよ。でも、お母さん今は記憶喪失だから離れて暮らしとる。」

「え、」

記憶喪失?

「…僕が小学生のときに精神的ショックで自分のことも僕のこともそれまでの記憶全部忘れてしもたんよ。僕がおったらお母さんの精神が乱れるみたいやけん離れて暮らしとる。」

サワは悲しそうに笑った。

「お母さんがそうなったんは僕のせいやしな。」

「…なんでサワのせいなん。」

サワは曖昧にごまかした。

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