椿ノ華



「はい。椿という名前の通り、とても可憐です」

「…ありがとう」


再び桜に視線を戻す。


「…僕の話を、聞いて頂けますか?」

「…何?」

「僕は、施設で育ちました」

「…え?」

「両親に捨てられたんです。

本当の名前も、誕生日も、何も知らない」

「……」


どうして急にそんな話をするのかと、驚いて紫野を見詰める。


「紫野 蓮人(しの れんと)という名前は、ある方に…

僕を拾ってくれた方に付けて頂きました。

施設で付けられた名前も、預けられた日の誕生日も全て捨てました」

「……」



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