そらいろ

にこり、と愛想笑いをしなれている透だからこそわかる。
応えて笑った彼の人懐っこそうな笑顔もまた、愛想笑いだ。

誰だ、こいつ。
初めて見る顔に、透は戸惑うしかない。


愛想笑いを浮かべたまま、男子は透の脇を通り過ぎた。
手に持ったノートが透の目に入った。

数学、とかかれた下に、名前がある。
“加藤 薫”
学年もなく、ただ名前だけのそれが、何故か印象に残った。

< 26 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop