明日ここにいる君へ








無断欠席。




予想もしないことが…起きた。











学校に着いてすぐ、靴箱から内履きを床に放り投げて、



「はあ~…。」…と大きく溜め息をついた瞬間に、




くすり。と近くで、笑い声がした。




「朝から、暗いね。」




………常盤くん…だった。






それは…
今日の空のことを言っているのか、


はたまた私のことを言っているのか、



どちらとは言い堅いくらいにサラリと言ってのけたけど。



ガサツな自分を見られた羞恥心は…案外大きなものだった。




「…………。間が悪い。」



「え?」



「常盤くんはいつも…、間が悪い。」




「………。そう?」




「……。そうだよ。」




「そっか。悪いな。」






別に…、悪いことなどはないのに。



大人の…対応だ。






「あれ?今日は悠仁一緒じゃないの?」



内履きの踵をしっかりと入れて、常盤くんはさも不思議そうに…尋ねてきた。



「…そうみたいね。」




「『みたい』って…、何で。」



「さあ?だって、別にいつも一緒なワケじゃ…。」



「………。付き合ってるんじゃないの?悠仁と。」



「…………。」



「二人見てて、そうなんじゃないかと勝手に思ってたけど……。」




悠仁は…、彼に話していない、ということだろうか。

とはいえ、付き合っている訳でもない。何をどう説明することも…できないってことか…?


それとも…、言うほどのものではないから?



私達の関係は。




親友にさえ……


話せない…?





「……。……付き合って…ない。」



「………!」



「…だから……、わからない、あの人のことは。」





常盤くんは……


私の中に、嘘を探すかのようにして…

じっと、目を見つめる。




「……。そっか。」


意外なことに。


彼の口から出たのは……



「そっか……。」



納得したかのような…言葉。


それから……、不意に見せた…安堵の表情。




「………。せっかくだし、教室まで一緒に行こうか。」



「…………。」




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